ベッドに上半身を起こして窓から外の景色を眺めた。

木々には葉がなく、冬の訪れを感じる。

まだ朝なのに、遠くにあの日と同じように薄く月が見えていた。

だいぶ欠けている。


___トン トン



ノックの音に入り口を見た。

「はい」

返事をすると、静かにドアが開く。

「やあ」

そこにはあいかわらず黒いスーツに黒いメガネの鏡が立っていた。

「鏡さん」
そう言った私の目から、前触れもなくポロッと涙がこぼれた。