「助けて……」

もう叫ぶ気力もないのか、千夏は弱々しく手を伸ばす。

柵からは2メートル以上外に出ていて届かない。

叫び声が校庭からいくつも聞こえる。

騒ぎを聞きつけた生徒もいるようだ。

もがくけれど、私の足はやっぱり動いてくれない。

後ろに立つ鏡が言う。

「君は動かないで」

「鏡さん」

振りかえると、すぐそばに鏡の顔が合った。

「ダメだ。君まで死ぬなんて、ダメだ」

「でも、でもっ……」

苦しげに顔をゆがませた鏡が私を後ろから抱きしめた。

「たのむ……。これ以上、人が死ぬのは……」