「あんまり時間がないね」
そう言うと、純子はまた手を動かした。

「きゃあ!」

千夏が叫びながら宙に浮かんだ。

「やめて! やめて!」

びしょびしょになって汚れた制服で叫ぶ。

柵まで歩いてゆく純子。

両ひじをかけて外の景色を見た。

「下に警察が来てるよ」

楽しそうに言うが、私からは校庭の奥の方が見えるだけ。

それも雨でほとんど見えない。

「遙香たちが疑われたらかわいそうだから、ありえない方法で殺さないとね」

すごい雨の音なのに、純子の声はなぜか聞こえた。