「大丈夫か?」

足をひきずりながら、太一がそばに来た。

制服が破れている。

「近づいたらダメ」
私が言うと、太一はその場で立ち止った。

ゼーゼーと息をした鏡に私は駆け寄ってその体を起こした。

純子が私を見てつぶやく。

「遙香はさ……その鏡って人が好きなんだね」


私はなにも答えない。


そんなこと考えたこともないし、今はそれどころじゃない。

純子が中腰になって私の耳に顔を寄せた。

「とにかく、ジャマしないで。次は殺すから。それは、遙香でも同じだから」