「ゲホッゲホッ」

仰向けに転がって、千夏は激しく息をした。

鏡が私の肩に触れた。

「今の……。山本さんが?」

「うん……」

純子が立ちあがると、
「瑠奈は?」
と、尋ねた。

私が首を振ると、
「そっか……」
と、残念そうにつぶやいた。

「遙香と瑠奈だけには見えるようにしたの。友達だから」

「ねぇ、純子。もうやめようよ」

純子の手を握ると、驚くほど冷たい。

氷みたいに冷えている手は、青白かった。