「かわいそうに……」

そう言いながらも、純子の声は笑っている。

楽しくて仕方ないみたいに……。


違う。


こんなの純子じゃない。

千夏の髪をつかんだ純子はそのまま起こしたかと思うと、その顔をコンクリートに押しつけた。

「ぐっ……」

苦しそうな千夏の顔が、雨水で汚れた。

「ほら、飲みなさいよ! いっつもこうしてたじゃないの」

「ぐぼ……」

水を吐き出しながら、千夏が苦しそうな声を出した。

「ふん」
そう言うと、純子は飽きたように手を離した。