「なんで遙香が謝るの? あたしが遙香を裏切ったのに」

「でも、純子が苦しんでいたこと気づいてあげられなかった。友達なのに助けてあげられなかった」

「……あたしが悪いの。あたしがなんでも話せば良かったのに。千夏たちに弱みを握られて、どうしようもなくって。でも、きっと遙香ならわかってくれたと思う。それなのに、言えなかった」

静かに純子はうつむいた。

「純子……」

「友達だと思ってなかったのは、あたし。だから、信じられなかったんだよ」

その時だった。

千夏が柵から離れたかと思うと、屋上の出口に向かって一気に走り出した。

「いやああああ!」

叫び声が、雨の音の中でも響き渡る。