「僕も見えない」
警戒するように姿勢を低くした鏡も言った。

「ウソでしょう? 千夏のそばに立ってる」
そう言うと、純子がカクカクと機械的な動きで私たちを見た。


私は、純子の方へ歩き出す。


「おい! あぶねぇ」
太一が鋭く言うが、私は立ち止まらなかった。

すぐ後ろを鏡もついてきている。

「山本純子さんがいるんだね?」
低い声で尋ねる鏡に、私は大きくうなずく。


目線はまっすぐに純子を見たままで。