「……っ。いってぇ」

「大丈夫!?」

「なんだよ、いったい。急に跳ね飛ばされた」

顔をしかめながら、太一は起きあがろうとするが、
「だめだ。足、くじいてるみたいだ」
と、悔しそうに顔をしかめた。

向こうに千夏が見える。

そして、千夏と向かい合うようにして立っているのは……。


「純子……」


見ているものが信じられない。

純子の横顔が見えている。

私が立ちあがると、太一が、
「え? 俺、なんにも見えないぞ」
と、顔だけあげて目をこらした。