2階で鏡が私を追い抜くと、先を走る。

息が切れるが、そんなこと言ってられない。

戻って来た生徒たちが階段にもいたが、
「みんなどくんだ!」
という鏡の大きな声に、あわてて端っこに寄った。

千夏、どうか無事でいて!

親しくもないのに、私はそう願っていた。

屋上の扉は開いていた。

太一が先に行ったのだろう。

外に出ると、一気に雨が降り注ぐ。

視界が悪く、よく見えない。

後ろで勢いよく扉が閉まると、
ガチャ
勝手にカギがかかった。