「すみません! 通してください!」

雨が強くなり、入り口はこみ合っていた。

渋滞が起きていて、前に進めなくなる。

「遙香、裏に回るぞ!」

太一の声に、方向を変える。

前を行く太一は陸上部だけあって早い。

それでも必死で走る。


千夏はきっと【444】を見てしまったのだ。


だから助けを求めているのだ。

屋上には、きっと……純子がいるはず。

ようやく裏口まで来ると、
「あれ?」
黒いカサをさしている男の人が声を出した。

カサをあげると、現れる顔。