「助けて!!」

その声が私の耳をとらえた。

「どうした?」

前を歩く太一が振り返った。

「なにか、声が聞こえなかった?」

「え? 聞こえないけど」
そう太一が首をかしげたとき、
「助けて!」
またその声が聞こえた。

校舎を見る。

歩いていたクラスメイトが、
「ねぇ、あれなに?」
と、隣の子をつついていた。


その子が指さしているのは上の方。