「ひゃあああ!」

腰が抜けてひっくり返ったあたしは、まるで死にかけのゴキブリ。

バタバタを足を動かすけれど、全然逃げられない。

純子の目が、黒くえぐられている。

それでもあたしを見おろすのは、間違いなく純子だ。

「どうしたの、千夏? そんなに驚いて」
クククとくぐもった声で純子は笑う。

「あ……あ……」

ブルブルと首を横に振る。

「千夏も【444】見ちゃったの? 思ったより早かったね」

「見てない。あたしは見てない!」

声の限り叫ぶと、一瞬純子がたじろいだように見えた。

この子……、まだおびえてるの?

そうならばあたしが弱気になってちゃいけない。