「千夏、ちょっといい?」
あたしの言葉には答えずに、瑠奈はそばまで来る。
勇気を出しているのか、思いつめたような表情。
「……なによ」
そう言ったのを、肯定ととらえたのか瑠奈は奥に早足で向かう。
しばらくして一冊の本を抱えて戻って来た。
「この本の380ページ、読んでみてほしいの」
そう言って、渡されたのは赤い表紙の分厚い本。
「なにこれ? 『西洋の宗教史』って?」
古臭い本に顔をしかめながら言うと、
「読んでみて」
瑠奈は繰り返した。
「でも、380ページより前は絶対に見ないで。【444】の数字が書いてあるから」
真剣な顔であたしを見あげた。
あたしの言葉には答えずに、瑠奈はそばまで来る。
勇気を出しているのか、思いつめたような表情。
「……なによ」
そう言ったのを、肯定ととらえたのか瑠奈は奥に早足で向かう。
しばらくして一冊の本を抱えて戻って来た。
「この本の380ページ、読んでみてほしいの」
そう言って、渡されたのは赤い表紙の分厚い本。
「なにこれ? 『西洋の宗教史』って?」
古臭い本に顔をしかめながら言うと、
「読んでみて」
瑠奈は繰り返した。
「でも、380ページより前は絶対に見ないで。【444】の数字が書いてあるから」
真剣な顔であたしを見あげた。