「誰かを集中攻撃することで、お前らはラクになるかもしれねぇけどさ。こうやっていじめは始まるんだろ? もう、こんなくだらないことやめようぜ。誰が原因かよりもさ、みんなの死を悼むべきだろ?」

最後はやさしい言葉になる太一。

誰も言い返さないのを見て、朋絵が呆れた顔をしながら席に戻った。

「……なによ」

その声は、千夏だった。

立ちあがると、カバンを持って教室から出て行く。

「おい」

太一の声に振り返ると、千夏はまっすぐににらんだ。

「やってらんないわよ!」
叫ぶと、そのまま教室の扉を勢いよく閉めた。

ガシャン!