暗闇がまた訪れる。

「純子……。お願い出して」

両手を伸ばしてフタを押しあげようとするが、ビクともしない。


ドンドンッ


こぶしで叩くが、1ミリも浮き上がらない。

「ねぇ、美鈴。ここがどこか知ってる?」

純子の声が聞こえる。

ここ……?

ここって、工場じゃないの?

クスクスの漏れる声が耳に届いた。

「あのね、ここって『炉』って呼ばれてる場所なの」

「炉…?」

聞いたことのある言葉だけど、混乱している私には理解できない。

フワッと入っている箱が浮かび上がった感覚。

ドン

軽いバウンドをして、なにかに乗せられたみたい。