「どうしてですか? それならさっさと殺せばよかったじゃないですか」

「美鈴が生きるのをあきらめてたから。それじゃああたしの恨みは晴らせないの。だから、希望を持たせたかったの」

純子の長い髪が、私の顔に触れた。

悪寒が走り、体がガクガクと震える。

真っ黒い目が緑の光の中、私を見おろしている。

そこにあるのは心を凍らせるほどの深い闇。

「生きられるかも、って希望を打ちくだかれる気分はどう?」

「お願いします。助けてください……」

「もう、聞き飽きたんだよね」

そう言うと、純子はフタを軽々と手で持ったかと思うと、
バタン
と、かぶせた。