「純子。勝ちましたよ、私勝ったんですよね?」

フタが顔のあたりしか開いてないので、起き上がれないまま私は言った。

顔から自然に笑みがこぼれた。

「……なんで?」

純子が不思議そうに言った。

「え? だって……。8時までの約束だったでしょう?」

「そうだよ」

「なら、私の勝ちじゃないですか」

「スマホの時間を見てみて」
クスクスと純子は笑いながら、私の手のあたりをフタ越しに指さした。

イヤな予感がムクムクと胸を覆ってゆく。

まぶしい画面に目を細めて、数字を確認する。

さっきはPM8:03だったから……。