でも……。

もうしばらくだけ私はそのまま動かなかった。

相手は純子だ。

気をつけるに越したことはない。

暗闇の中に人の気配はしなかった。

ポケットに入れたスマホを取り出す。

画面を見る。

絶対、大丈夫なはず。


画面の右上にはPM8:03と表示されていた。


「やった!」
思わず歓喜の声が出た。

その瞬間。

「みーつけた」
声がしたかと思うと、フタが開けられた

「キャッ」

緑色の照明の中、純子が浮かんでいた。

私の顔を見て笑っている。

フワフワ浮かんでいるその姿を見ても、私は生きられる喜びで満たされていた。