___純子の声

あと何分なの?

早く、早く時間が過ぎて!

純子は、ゆっくりと部屋を歩きまわっている。

自分の息づかいすら聞こえそうで、じっと息をひそめて耐えた。

やがて、
「ここじゃないのかな」
つぶやく声がしたかと思うと、足音は遠ざかった。

廊下のあたりで、
「ああ、時間がないよぉ」
と、言っている声。

やがて、その声も聞こえなくなる。

それでも私は動かなかった。

いや、動けなかったのだ。


1分がとても長く感じる。