スマホを取り出す。

PM7:50の文字がまぶしい。

「あと10分……」

その時、スマホが激しく鳴り響いた。

慌てて手から滑り落ちる。

「ウソでしょう!」

体を曲げられないから、それを右手でなんとかつかむ。

一瞬、純子が電話してきたのかと思ったが、画面には『お母さん』と表示されていた。

「もしもし」

小声でそれを取る。

「美鈴、どこにいるの」

その声は怒りに満ちていた。

私の成績が落ちたときに聞く声。

「お母さん」