「あ、ごめん」
千夏はそう言ってカバンを拾うと、同じようにフックにかけた。

そのまま美鈴たちの方へ戻ってゆく。

「なに、今の」
遙香がいぶかしげに言う。

「なにって、謝りにきただけっしょ」
すっかり安心した顔の瑠奈。

「そうだよ。解決したんだよ」

あたしも同じように安心しきった顔をしているのだろう。

今朝からのつっかえがとれたような気がして本当にうれしい。

「そうかな……」

まだ疑っているような顔の遙香に、少しだけ違和感を覚える。

せっかく謝りに来てくれたのに、そんな疑うことないのに。


遙香って、意外に疑り深いのかも。