祈るような気持ちでそのドアを引くと、音もなく開いた。

「やった……」

体を滑り込ませると、中からカギをかけた。

電気もついていない建物の中は、外よりもさらに暗く感じた。

工場なのだろう。

薬品のようなヘンな匂いが鼻につく。

歩いても歩いても、行き止まりにはならない。

途中にあるドアらしきものには、すべてカギがかかっていた。

「お願い。お願いよ……」

やがて、広い空間に出たらしい。

非常灯のランプだけがついているその部屋。

緑色のランプを頼りに歩く。