元の通りへ出ると、駅裏へ急ぐ。

4分は過ぎているから、今ごろ純子は探し出しているはず。

塾の前も通り過ぎると、住宅はまばらになってくる。

だんだんと山道になり人の姿も見えない。
舗装されていない道のわきには、草が生い茂り虫がのんきな声を響かせている。

どこか……。

どこか隠れるところがあれば。

スマホを見ると、PM7:40の表示。

あと20分……。

足が棒になり、坂道を登るスピードが落ちてくる。

「急がないと、急がないと……」

その時、その声が聞こえた。

「美鈴~。どこかなぁ」

遠くで聞こえる純子の声。