「……牢屋へ」

息が切れて続かない。

「君、名前は?」

もう笑顔を消して、目の前の警察官が尋ねた。

その目を見て思い出す。

「私は……私の名前は大河内美鈴です。あの、刑事さん。鏡さんいらっしゃいますか!?」

学校に来た刑事の名前。

あの人ならわかってくれるかも。

「刑事課にご用ですか?」

「いるんですか? いないんですか!?」

恐怖から、涙があふれた。

尋常じゃない私に、警察官は後ろにいた婦人警官に目配せをする。

受話器を手に取って、なにか話し出す婦人警官。


早く。


早く……。