「それじゃあよーいはじめ!」

その声に押されるように、私は走り出した。

人波を抜けて、角を曲がる前に振り向くと、純子が手を振って笑っていた。


駅前はよくわからない。


塾くらいしか行ったことがないから。

どこに隠れても、簡単に見つけられてしまうような不安しかない。

走りながら、ふと目についたのは中央署の入り口。

純子が普通に探してくれるのならば、ここには来ないかも……。

一般の人が行けない場所に隠れれば、見つからないはず!

入り口に飛び込むと、一斉に警官の制服を着た人たちが私を見た。

どこへ……。

どこへ、行けばいいんだろう。


汗がほほを流れた。