「うう……」

また、涙がこぼれた。

頭がパニックになっているのか、感情がコントロールできなくなってる。

「美鈴」

肩に置かれた冷たい手。

「あたしに謝ってくれてありがとう」

「純子……」

「44分間、どうかしっかり隠れて。あたしも美鈴を殺したくない」

その言葉に私は大声を上げて泣いた。

ギョッとして通行人がヒソヒソと話をしているが、気にならなかった。

ようやく泣き止んだ私に、純子は言う。

「それじゃあ、はじめるから。今、7時16分だから、8時まで逃げ切れば美鈴の勝ちだからね」

「はい……」

鼻をすすりながら答えた。