「ムリです……。もう、殺して……。それくらいのことしたのですから」

涙がこぼれて純子の姿がゆがむ。

「……美鈴はやさしいね」

純子の言葉に私は首を振った。

「殺してください」

「生きたくないの?」

その言葉にハッとした。

純子は真っ黒い目で私をのぞきこんでまた口を開く。

「生きていればたくさんの出来事が待っているんだよ? 悪魔と契約したから、ただ見逃すってわけにはいかないけど、でも生きるチャンスがあるんだから、やってみようよ」

「純子……」

そうだ。

これまで一生懸命勉強してきた。

それが全部無駄になるなんて。

チャンスがあるなら、それに賭けてみるのもいいかもしれない。