「そうなんだけどさ。あんな黒板まで書いておいて、『信じる』ってヘンじゃない?」

「まぁ、たしかに。でもさ、信じてくれたんだから、あたしも信じるしかないと思うんだけど」

「……考えすぎか」

言葉とは裏腹に、まだ遙香の表情は曇っている。


「純子」

後ろから声がかかり振り向くと、千夏が近づいて来るところだった。

美鈴と渚は離れてこっちを見ている。

「柴田さん」

黙っている遙香と瑠奈に目もくれず、千夏はあたしの席の隣にしゃがむ。

「さっきはごめんね。お昼食べるの遅くなっちゃったね」

「あ、うん。大丈夫だよ、あたし早食いだから」

「そう。良かった」

そう言って立ち上がると同時に、ひっかかったのか横にかけておいたあたしのカバンがバタッと床に落ちた。