「ゲームって言ってもね、ただの遊びだよ」

考えるように宙を見上げる純子。

そのまま沈黙が流れる。

ひとりでしゃべっているように見えるのか、足を止めて私を見ている人もいた。

怪訝な顔で、興味深げな顔。

そう、私たちもそうだった。

自分の欲求を満たすためなら、他人のことなんて考えなかった。

それが、どんなにその人を傷つけるとも知らないで。

「かくれんぼにしよう」
その声に、私は純子を見た。

「かくれんぼ?」

「そ。美鈴はこの町のどこでもいいから隠れていいよ。私、見つけてみせるから」

キャッキャッと笑う声。

聞いたことのない笑い声に、胸が締めつけられる。

もっと、一緒に笑いあえばよかった……。

いまさら気づくなんて、私はバカだ。