「……ムリです」

「どうして?」

「だって、どうせ勝てないゲームなんでしょう? だったら、いっそひと思いに」

「あはは」
私の言葉は純子の笑い声に消された。

「そんなアンフェアなことしないよぉ」

「でも……」

渋る私に、純子は「フフン」と鼻を鳴らすと、
「大丈夫。やる価値はあるよ」
と、楽しげに笑う。

「どんな……ゲームなんですか?」

勉強ばかりしていて、あまりそういうゲームはしたことがなかったから。

勝敗がつくのは結局、勉強でしかないと教育された私には、ゲームの楽しさがわからない。