「美鈴。ちゃんと謝ってくれたのはあなたがはじめてだよ」
首をかしげて純子は言った。

空を雲が覆った。

さっきまで見えていた満月も、どこかへ消えて遠くで雷が鳴っている。

「ねぇ、美鈴」

純子が生きているときには聞いたこともない明るい声で言った。

「……はい」

「ゲームしよっか」

「え?」
その言葉の意味がわからなくて、私は聞き返した。

純子は、
「ゲームだよ、ゲーム。そのゲームに美鈴が勝ったら許してあげる」
と、口を大きく開けて笑った。