道行く人が驚いて、私を避けて歩いてゆく。

中年の男性が、
「君、どうしたの?」
と、しゃがみこんで尋ねた。

純子の姿は見えていないんだ……。

「具合でも悪いの?」

「放っておいてください!」
差し伸べられた手を振り払うと、私は叫んだ。

「なんだよ……」

男性は驚いた顔をして、立ち去った。

「美鈴、どうしちゃったの? 調子狂うよ」
クスクスと笑って純子は言った。

「許されないのはわかっています。だけど、これだけは信じてください。反省しています」

そう言って私はまた頭をアスファルトに押し付けた。

涙がボタボタと地面を濡らす。