「そんな……」

ガタッ
音を立てて立ちあがった私に、女の子たちの不審な視線が注がれている。

ひと口も飲んでいないアイスコーヒーはそのままに、私は外に出た。

夜になり寒い空気が、頬をなでていった。

なにも変わらない駅前の風景。

空に浮かぶ大きな満月。

まばらなネオン。


それでも、なにか違和感がある。


風邪をひいた時になるあのゾクゾク感が、ひっきりなしに体を駆け巡っていた。

家路に向かう人たち。

その流れに逆らってフラフラと歩く。

日曜出勤のサラリーマン。

大学生らしきカップル。