……良かった。

「いいのでしょうか、信用して」
美鈴がいぶかしげな顔で千夏に言う。

「そうだよ。絶対、こいつが犯人なのに」
渚が不満を口にした。

「仕方ないじゃん。5万円は痛いけど、置き忘れたのはあたしだし」

「え? 5万円!?」

あの財布からそんな大金がなくなったの!?

驚くあたしに、渚が、
「あんたさ、しらじらしいんだって!」
と、肩を押した。

軽く押しただけなのだろうが、簡単にあたしの体は柵にぶつかった。

「ちょっと、渚。やめなよ」
千夏が制し、あたしの肩を両手で持った。
「大丈夫?」

「う、うん……」

「信じるからさ。だから、これで終わり、ね?」
子供を諭すような言い方に、あたしは安堵で何度もうなずいた。