「うん。あの子から千夏や田中くんに言ってもらえばいいんじゃない?」

それもそうかもしれない。

美鈴からの言葉の方が信じてくれるだろうし。

「そうと決まったら行こうぜ」
太一が本を閉じて言った。

「どこへ?」
言われた意味がわからなくて私は聞いた。

瑠奈も太一を見上げて首をかしげている。

「なに言ってんだよ。美鈴ん家に決まってるじゃん。俺、家近くだから知ってるんだ」

その言葉に、私と瑠奈は顔を合わせた。

「ほら、早く行くぞ」

もう、歩き出そうとする太一に、瑠奈があわてて本を戻しに走った。


瑠奈は信じてくれるだろうか……。


また胸が重くなったような気分がした。