「大丈夫だよ。私たちは名前呼ばれてないでしょう?」

安心させようと言うが、瑠奈はブンブンを首を横に振った。

「遙香、覚えてないの?」

「なにを?」

「純子は名前を言い終わった後、言ったんだよ。『他にも、私を苦しめたり裏切った人たちを許せない』って、そう言ったんだよ!」

大声で主張する瑠奈。

私は人差し指を唇に当てると、「シーッ」とさっきやられたようにして見せた。

「……あ」
瑠奈がハッとした顔をする。

「瑠奈は純子を苦しめたの?」

「……ううん」
すねたように唇をとがらせた瑠奈が言った。