赤い布で覆われているその本には、崩した黒文字で、『西洋の宗教史』と書いてある。

「あった！」

思わず大声で叫ぶと、ふたりは唇に手を当てて、
「シーッ」
と、注意してきた。

いけない。

ここは図書館だったんだ。

その本を手に取ると、表紙を見る。

絵などはなく、背表紙と同じ赤い布地に小さくタイトルが書いてあった。

瑠奈に渡すと、「うん。これこれ」と満足そうに笑っている。

すぐに読書スペースへ移動し、椅子に瑠奈が座る。

両サイドに私と太一。