いつもの3人のように軽口を言えるのがうれしかった。

こんな状況じゃなければな……。

図書館の中でも奥まった場所にJの書庫はあった。

側面に書かれた数字を追って歩く。

目的の12につくと、手分けして探す。

どれも古臭い背表紙の本ばかり。

「上の方のタイトルが読めないよ」
背伸びしながら瑠奈が言うので、上の段は太一の担当となった。

瑠奈は下段あたり。

私は真ん中。

ゆっくりと目で追いながら探してゆく。

「ないね」

「ないな」


そんな短い会話をしている中、ふと、一冊の本が目に留まった。