体を斜めにしても曲がりきれないかも!

上がってゆくスピードの中、なんとか体制を立て直した。

もう少しで曲がりきれる!

肩に置かれた純子の手の重さが消えた。

ミラーを見ると、そこに純子の姿はなかった。

カーブを乗りきり、また直線の道に戻る。


助かった……。


俺は前方に意識を集中させる。

なんとかこのバイクを止めないと。

「哲也くん」

また、純子の声がした。

今度は後ろからじゃない。

「え……」

純子は目の前にいた。


猛スピードで走り続ける俺のバイクの前方に、純子は浮かんでいた。