目の前に車が迫る。

ハンドルをとっさに切って追い抜く。

すぐに次の車が!

今度は左へ。

クラクションの洪水に頭が割れそうだ。

「悪かった! 俺が悪かった!」

メットが曇る。

それは俺が泣いているからだ。

目の前にカーブが迫ってくる。

「助けてくれぇぇぇぇ!」
大声で俺は叫ぶ。

カーブに差しかかり必死でハンドルを切った。


ギャギャギャギャ!


地面が音を立てて摩擦音が騒いでいる。