「おりろよ! 死ねよっ!」

「哲也くん。死ぬのはあなただよ」

「なっ……」

「スピード違反は、ダメなんだよ」
そう純子の声がした次の瞬間、バイクがうなり声をあげた。

アクセルもふかしてないのに、時速メーターがどんどんあがってゆく。

「なんだよ、これ……」

時速60キロ以上は出ないはずなのに、メーターを振り切ってもなおスピードがあがってゆく。

ブレーキを握っても軽い感触がするだけだった。


すごいスピードで景色が流れてゆく。

「純子! やめてくれよ! やめてくれよ!」

「ふふ。それ、私も何度も言ったよ? そうしたら殴られたね」