「明日だと思ってたら、今日なんだってよ。迎えに行かなきゃならんから、帰るわ」

そう言うと、先輩は自慢のバイクにまたがった。

最近できたという彼女の話は、本当だったのか。

どうせ先輩のことだから、自慢したくてウソついてるのかと思ってた。

すぐにエンジンをかけると、
「また連絡するから」
と告げて、爆音を響かせてあっという間に走り去った。

「……んだよ、まったく」

今日は隣町まで行く約束だったのに。

このまま家に帰ってもな……。


俺はアクセルをふかすと、家とは反対方向に走り出した。

しょうがない。

ひとりでひとっ走りしてから帰るか。