「仕方ない?」

首をかしげた私に、差し出される右手。

反射的にそれを握ると、ゆっくり引っ張られ私も立つ。

「誰だって最初は信じないよ。僕だってまだ半信半疑だし」

「……うん」

「でも、彼女はウソついてる」
鏡がそう言って、小さくなってゆく千夏の後姿に目をやった。

「ウソ?」

「そう。彼女が山本さんをいじめていたのは確かだよ。何人もの容疑者のウソを見破ってきた僕が言うのだから間違いない」

胸を張って鏡は断言した。

「つまり、いじめてたってこと?」