「お邪魔するよ」
そう言うと、鏡はベンチの端に腰を降ろした。

渋々といったふうに千夏も座る。

両端が埋まっているので、仕方なく真ん中に私。


「で、話ってなによ」
足を組んで千夏が尋ねた。

長い髪が風にゆれて泳いでいる。

「あ、あのね。実は……」
そう言って私は鏡をチラッと見た。

まずは、先に言ってほしいことがあったから。

私の視線に気づくと、鏡は身を乗り出して千夏を見た。

「兼子先生が亡くなった」

「まさか」
半笑いで千夏は言った。

信じられない、という感じだ。