まだ体がふらつくが、なんとか千夏に会って、呪いを解かなくては。

兼子先生まで亡くなっているのなら、なおさら急がないと。


もう、迷いはなかった。


「刑事さん」

「ん?」

急に早足になった私に追いつくと、鏡は私を見た。

「呪いは、あると思います。それほど強い恨みだったんだ、と思うんです」

「うん……。しかし」

「刑事さんの気持ちはわかります」
そう言うと、私も鏡を見た。

メガネの奥の目と、視線がぶつかる。

「刑事さんは事件として追ってください。私はなんとか純子の呪いを解きますから」