ゆっくり教壇に向かう。

みんながあわてて自分の席につくなか、あたしは金縛りにあったかのように動けなかった。

遙香があたしの方へ小走りにやってくると、
「とりあえず座ろう」
と、小声で言った。

いつの間にか瑠奈は席についている。

「うん……」

なんだか現実のこととは思えず、力の入らない足であたしは席についた。

さっきの出来事が夢のように思えた。

座って気づく。

小刻みに手足が震えている。

隣の席の女子が、
「大丈夫?」
と声をかけてくれた。