「違う。あたしは泥棒じゃない……」

首を何度も横に振る。

でも、誰も答えてくれない。


チャイムの音が鳴りだす。


カーテンの後ろに隠された黒板消しを見つけた遙香が、急いで文字を消すと、
「これ書いたの誰よ」
と、みんなを見回した。

「知らねぇよ」
バカにしたような言い方で男子が言う。

まだ千夏はあたしを見て笑っている。

隣に立っているのは、昨日もいた学級委員の美鈴。それに、渚。

3人があたしの表情を見ている。


その時、
ガラッ
と前の扉が開き、担任の兼子先生が入ってきた。