「そうよ。私は殺してない……。それなのに、なんで!?」

涙がほほを濡らした。

神様、助けて。

どうか助けてください。

山本が今まさに、椅子に足をかけようとする私のそばに来た。

「先生、おもしろい。それ、本気で言ってるの?」
高い声で山本は笑った。

「……山本さん」

不安定な椅子に登る体。

首が勝手に輪っかの中へ入ってゆく。

「違うよ。みんなであたしを殺したの。スカーフの輪っかにあたしの首を通したのは、みんななんだよ」

屈託のない声で言う山本を、横目で見ながら首に当たるスカーフの感触を感じる。

ウソでしょう?


こんなこと、ありえない……。