「先生、あたしここで首をつったの」

山本が天井に横に走っている梁の部分を見あげた。

「山本さん……」

「苦しかったんだよ? 一瞬で息ができなくなって。死にたいと思っているのに、体が死にたくないって叫んでるの。勝手に締まる首をラクにしようともがくの」

「やめて……」

「でも、もがけばもがくほど体が揺れて、その分苦しくって。目玉とか舌とかがね、全部体から飛び出してゆくような苦しさなの」

「やめてよ!」
床をバンッと叩いて、私は叫んだ。

聞きたくない。

聞きたくない!

両耳を押さえてうずくまる。